今月も Visual Studio Code の新バージョンがリリースされました。さっそくリリースノートをチェックしていきましょう。
目次
リリースダイジェスト
Visual Studio Code のバージョン1.128〜1.130がリリースされました。
| バージョン | 変更点 | 変更内容 |
|---|---|---|
| 1.128 | マルチチャット・エージェント・セッション | Claudeエージェントにおいて、一つのセッション内で複数の関連するチャットを実行可能になり、並行作業が容易になりました。 |
| 1.128 | Copilot Vision の一般公開 | 画像やPDFをチャットにドラッグ&ドロップで添付できるマルチモーダル対応が実現しました。 |
| 1.128 | ワークスペース不要のクイックチャット | プロジェクトを開いていない状態でも、Agentsウィンドウから直接質問が可能になりました。 |
| 1.128 | サブエージェントの可視化 (Preview) | エージェントがタスクを委任した際の進捗を、読み取り専用チャットとして確認できるようになりました。 |
| 1.128 | カスタムモデル (BYOK) サポート | 独自のAPIキーを使用してモデルを実行でき、temperature等の詳細なパラメータ設定も可能になりました。 |
| 1.128 | OSレベルのキーボードショートカット | VS Codeにフォーカスがない状態でも、OS全体のショートカットとしてコマンドを実行できるようになりました。 |
| 1.128 | OpenTelemetry によるテレメトリ管理 | 組織管理者がGitHub Copilotの利用データの送信先やプロトコルを制御できるようになり、セキュリティが強化されました。 |
| 1.129 | Agent Host の導入 | エージェントを専用プロセスで実行することで、複数のVS Codeウィンドウから同一セッションへの接続が可能になりました。 |
| 1.129 | セッション管理ツールの拡充 | エージェントが自律的に他のセッションをリストアップ、作成、メッセージ送信できるツールが追加されました。 |
| 1.129 | 新しいエディタパネル | Agentsウィンドウ内にチャットとエディタを統合したパネルが登場し、スムーズなコードレビューが可能になりました。 |
| 1.129 | コマンド実行 (! プレフィックス) | チャットの先頭に ! を付けることで、内容を直接ターミナルコマンドとして実行できるようになりました。 |
| 1.129 | モダンUIのプレビュー (Experimental) | ワークベンチの外観を刷新した、新しいモダンなUIを試用できるようになりました。 |
| 1.129 | GitHub Enterprise (GHE) サポート | Agent Host経由でのCopilot利用において、企業用GHEインスタンスでの認証が可能になりました。 |
| 1.130 | Assisted Tool Approvals | AIがツール実行のリスクを自己評価し、安全な場合は自動実行、リスクがある場合のみ承認を求める機能が追加されました。 |
| 1.130 | Agents Window の改善 (Preview) | ファイル単位の差分統計表示や、コンパクトなマルチファイル差分表示によるレイアウト最適化が行われました。 |
| 1.130 | Worktree サポート | Git worktreeを利用して、エージェントごとの作業環境を分離できるようになりました(Claude/Codex対応)。 |
| 1.130 | Copilotクレジット使用量の可視化 | Business/Enterpriseユーザー向けに、現在のAIクレジット使用量をステータスメニューから確認できるようになりました。 |
| 1.130 | ターミナルのGit diffリンク | ターミナル上のGit diff出力から、直接該当ファイルを開けるようになりました。 |
https://code.visualstudio.com/updates/v1_128
https://code.visualstudio.com/updates/v1_129
https://code.visualstudio.com/updates/v1_130
ピックアップ
自律型開発ワークフローを支えるエージェント基盤の進化
Visual Studio Code 1.128から1.130にかけての変更を通して見えるのは、AIエージェントの実行基盤が単一のチャットUIから、複数の作業を並行して進めるための土台へと明確に移行してきたことである。1.128ではClaudeエージェントにおいて一つのセッション内で複数のチャットを扱えるようになり、実装とテストを別チャットで並行して進めたり、複数のアプローチを比較したりする作業がしやすくなったが、1.129ではこの仕組みがAgent Hostという専用プロセスとして再設計され、一つのセッションを複数のVS Codeウィンドウから同時に接続・表示できるようになった。さらに同バージョンでは、エージェントが自律的に他のセッションを一覧・作成・参照し、メッセージを送信できるツールが追加され、複雑なタスクをサブタスクとして別セッションに切り出す運用が、UI上の工夫ではなく実行基盤の機能として扱われるようになっている。この延長として1.128で追加された、サブエージェントへの委任状況を読み取り専用チャットとして確認できる機能(プレビュー)は、委任先の処理が見えないまま進行することを防ぎ、並行するセッションを人が把握し続けられるようにする役割を担っている。
ツール実行の扱いにも変化があり、1.130ではAIモデル自身がツール実行のリスクを評価し、安全な操作は自動的に実行し、リスクがある場合のみユーザーに承認を求めるAssisted Tool Approvalsが加わった。これにより、逐一承認を求めるか全面的に任せるかという二択に近かった従来の運用から、自律性と安全性をバランスさせる具体的な仕組みへと変わっている。モデルの利用面では、1.128で実験的機能として導入されたBring Your Own Key(BYOK)が1.129でCopilotエージェントにも対応し、独自のAPIキーを用いたモデル実行や、temperature・top_pといったサンプリングパラメータの個別設定が可能になった。加えて1.129ではAgent Host経由でのGitHub Enterprise認証にも対応し、1.128で追加されたOpenTelemetryによるテレメトリ送信先・プロトコルの管理と合わせて、組織の環境にエージェントを組み込む際の制御が整えられてきている。
エディタ側では、エージェントが生成した変更を人が確認する作業を支えるための機能が続けて追加された。1.129ではAgentsウィンドウ内にチャットとエディタ、差分表示を統合したドッキングパネルが加わり、インライン表示とサイドバイサイド表示の切り替えやファイルの展開・折りたたみが可能になった。1.130ではこれがさらに進み、各ファイルの挿入・削除数をヘッダーに表示するファイル単位の差分統計や、エディタの表示領域を広く使うためのコンパクトなマルチファイル差分表示が加わっている。同時にGit worktreeを利用してエージェントごとに作業環境を分離する仕組みがClaudeやCodexでも使えるようになり、複数のエージェントがそれぞれ独立したディレクトリで作業を進めたうえで、変更内容をまとめて確認するという流れが取りやすくなった。
チャット周りの細かな改善も、こうした並行作業を前提にした実務的な変更として位置づけられる。1.128ではワークスペースを開いていない状態でもAgentsウィンドウから直接質問できるようになり、画像やPDFをドラッグ&ドロップで添付できるCopilot Visionが一般公開され、特定のチャットセッションへ直接アクセスできるディープリンクや、キーボード操作のみでチャットを作成・切り替え・削除できる専用キーバインドも追加された。1.129ではチャットプロンプトの先頭に!を付けて内容をそのままターミナルコマンドとして実行できるようになり、1.130ではチャットのやり取りにタイムスタンプが表示されるようになったほか、Copilot Business/Enterpriseユーザー向けにクレジット使用量をステータスメニューから確認できるようになっている。これらの変更を並べると、今回の一連のリリースは、エージェントがコードを書くこと自体よりも、複数の作業単位を安全に並行実行し、その進捗と変更内容を人がどう把握し、どこで介入するかという運用面を段階的に整えてきた過程として理解できる。
