今月も Visual Studio Code の新バージョンがリリースされました。さっそくリリースノートをチェックしていきましょう。
目次
新バージョンのリリース情報
Visual Studio Code のバージョン 1.104 がリリースされました。
個人的に気になる主なリリース
| 変更点 | 変更内容 |
|---|---|
| 自動モデル選択 | Copilot Chatにモデル自動選択機能が追加され、モデルピッカーで有効化可能。数週間以内に全ユーザへ展開予定。 |
| 機密ファイル編集の確認 | エージェントモードで重要ファイルを編集する際に、事前にユーザーへ確認を求める仕組みを導入。 |
| AGENTS.mdファイル対応 | ワークスペース直下のAGENTS.mdでエージェントへ指示やコンテキストを提供可能に。デフォルトで有効。 |
| チャットフォント設定 | Copilot Chatで使用するフォントをユーザーが指定できるようになり、表示体験をカスタマイズ可能に。 |
| Git ワークツリーの変更プレビューと移行 | ワークツリーファイルをワークスペースと比較して差分を確認し、コマンドで変更をワークスペースへ移行可能に。 |
その他の詳細なリリース内容については August 2025 (version 1.104) をご覧ください。
AGENTS.mdとは?VS Codeがサポートした新しいAI設定ファイル
最新のリリースでVS Codeがサポートした「AGENTS.md」は、AIとの付き合い方を大きく前進させる仕組みです。
これまでCopilot Chatやエージェントモードを利用する際には、プロジェクトごとに「コードスタイルはTypeScriptで統一する」「特定のライブラリは使用しない」といったルールを、その都度AIに説明する必要がありました。AIには文脈が不足しやすく、開発者側も繰り返し同じことを伝える負担がありました。AGENTS.mdを使うことで、これらのルールや方針をあらかじめプロジェクトのルートに置いたファイルで定義でき、AIが自動的にそれを読み取って行動に反映します。
書き方はシンプルで、Markdown形式で方針や命名規則、禁止事項などを記述します。例えば「コードは常にTypeScriptで書く」「ReactコンポーネントはPascalCaseで命名する」といったルールをファイルにまとめておけば、エージェントが自然と従うようになります。設定の有効化作業は不要で、ワークスペースに置くだけで機能するのも特徴です。
この仕組みが特に力を発揮するのはチーム開発です。READMEやCONTRIBUTING.mdが人間に向けたドキュメントであるのに対して、AGENTS.mdはAIに向けてチームの文化や開発方針を伝えるものになります。複数人で進めるプロジェクトでも、AIを含めて全員が同じ前提を共有できることで、提案や修正に一貫性を持たせることができます。
活用方法はまだ広がりの余地があります。テスト戦略やレビュー方針を加えることで補助の質を高めることもできますし、学習目的のプロジェクトでは「必ずコードにコメントを付ける」といった教育的ルールを設定することも可能です。オープンソース開発においては、プロジェクトの哲学やコーディングスタイルをAGENTS.mdに記録することで、外部からの貢献者にも明確に方針を共有できます。
AIが開発の現場に浸透していく中で、AGENTS.mdはREADMEやLICENSEと同じようにプロジェクトの基本ファイルの一つとして位置づけられていく可能性があります。VS Codeがいち早く対応したことで、この流れが加速していくことが期待されます。
