今月も Visual Studio Code の新バージョンがリリースされました。さっそくリリースノートをチェックしていきましょう。
目次
リリースダイジェスト
Visual Studio Code のバージョン 1.121〜1.124 がリリースされました。
| バージョン | 変更点 | 変更内容 |
|---|---|---|
| 1.121 | リモートエージェント (Preview) | SSHやDev Tunnels経由でリモートマシン上でエージェントセッションを実行可能になり、クライアントを閉じても作業を継続できます。 |
| 1.121 | Claudeエージェントの自動許可モード (Preview) | 安全性を保ちつつ、ユーザーの都度の許可なしにタスクを実行できるモードが追加されました。 |
| 1.121 | Observability (可視化) | OpenTelemetryとGrafanaを利用して、エージェントの操作、トークン使用量、応答時間などを可視化できるようになりました。 |
| 1.121 | ユーティリティモデルのBYOK対応 | コミットメッセージ生成やタイトル要約など軽量タスクに使用するモデルを、ユーザー独自のモデルに変更できるようになりました。 |
| 1.121 | ターミナルのセキュリティ強化 | パスワードやPINなど機密情報の入力を検知すると、エージェントが読み取らないようインターセプトし、ユーザーに直接入力を促します。 |
| 1.121 | Mermaid図の標準サポート | MarkdownプレビューやNotebooks、チャット内でMermaidダイアグラムが拡張機能なしで直接レンダリング可能になりました。 |
| 1.121 | HTMLプレビュー | 拡張機能なしで、ローカルのHTMLファイルを内蔵ブラウザで直接プレビューできるようになりました。 |
| 1.122 | Copilotの従量課金制への移行 | 使用したトークン量とモデルに基づく「使用量ベースの課金」に移行し、モデル選択時にコスト情報が表示されるようになりました。 |
| 1.122 | 100万トークンのコンテキストウィンドウ | Anthropic(Claude 4.7等)やOpenAI(GPT-5.5等)の対応モデルで100万トークンのコンテキストをサポートし、大規模コードベースの読み込みが可能になりました。 |
| 1.122 | BYOKの自由度向上 | GitHubサインインなしで独自APIキーが利用可能になり、エアギャップ環境やOllamaなどローカルモデルでのオフラインワークフローが実現します。 |
| 1.122 | 統合ブラウザのデバイス・エミュレーション | 画面サイズ、モバイル/タッチ操作、カスタムユーザーエージェントなどのエミュレーション機能が標準搭載されました。 |
| 1.122 | チャットへのスクリーンショット追加 | ブラウザの表示内容をスクリーンショットとして撮り、そのままチャットのコンテキストとして渡せるようになりました。 |
| 1.123 | セッション同期と履歴管理 (Chronicle) | チャットセッションがGitHubアカウント経由で自動同期され、/chronicleコマンドで過去セッションへの質問やスタンドアップレポートの生成が可能になりました。 |
| 1.123 | Agents Windowの並列表示 | 複数のエージェントセッションをサイドバイサイドで表示でき、比較や並行作業のレビューが容易になりました。 |
| 1.123 | Research Agent (Preview) | コードベース、GitHubリポジトリ、ウェブから情報を収集し、引用付きMarkdownレポートを作成する「ディープリサーチ」機能が追加されました。 |
| 1.123 | サンドボックス内ネットワークリトライ | ローカルエージェントのコマンドがネットワークを必要とする場合、ファイルシステム保護を維持したままサンドボックス内でアクセスを許可してリトライします。 |
| 1.123 | 統合ブラウザのお気に入り機能 | アドレスバーが刷新され、ページの保存と保存済みページへのクイックアクセスが可能になりました。 |
| 1.123 | 拡張機能の自動更新の遅延導入 | 公開直後の問題を避けるため、自動更新前に2時間の遅延が設けられました(信頼できるパブリッシャーは即時更新)。 |
| 1.124 | Agents windowのバックグラウンド送信 | Alt+Enterでリクエストをバックグラウンド送信しながら、次のセッション準備を進められるようになりました。 |
| 1.124 | セッション間の高速ナビゲーション | Ctrl+Rでクイックピック、Ctrl+Tabで履歴移動、Ctrl+1〜9で位置指定ジャンプなど、キーボード操作によるセッション切り替えが強化されました。 |
| 1.124 | セッション状態の復元 | ウィンドウのリロードや再起動後も、セッションのレイアウト、開いているエディタ、ピン留め状態が自動復元されます。 |
| 1.124 | Autopilotのデフォルト有効化 | エージェントが明示的な承認なしに自律的にタスクを完了させるAutopilotがデフォルトで有効化され、組織レベルでの管理も可能になりました。 |
| 1.124 | Advanced Autopilot | 小規模なユーティリティモデルがチャット履歴を読み取り、タスクの完了を判断することでループを防ぎ、正確な結果を得られます。 |
| 1.124 | 統合ブラウザの履歴機能 | 閲覧履歴が保存され、URLバーでのサジェストやCtrl+Hでの履歴管理が可能になりました。 |
| 1.124 | Copilotプラグインポリシー管理 | 管理者が開発者の使用できるチャットプラグインやマーケットプレイスを組織レベルで一括制御できるようになりました。 |
ピックアップ
AIに任せる時代へ。「Autopilot」がデフォルトで有効化、自律的なタスク完了をAI自身が判断
Visual Studio Code 1.124で最も注目すべきは、プレビュー機能である「Autopilot」がデフォルトで有効化されたことです。これは、AIエージェントとの付き合い方が「都度確認しながら進める」から「自律的に任せる」へと、大きく舵を切ったことを示す象徴的なアップデートと言えるでしょう。
Autopilotとは、エージェントがユーザーの明示的な承認を待たずに、自律的にタスクを完了させていく機能です。これまでは1ステップごとに「このコマンドを実行してよいか?」「このファイルを編集してよいか?」と確認が入ることが多く、エージェントの真価を発揮させるにはユーザー側の介入コストが課題でした。Autopilotがデフォルトで有効化されたことで、開発者はより本来の創造的な作業に集中できるようになります。
特に興味深いのが、新たに導入された「Advanced Autopilot(高度なAutopilot)」の仕組みです。これは、軽量なユーティリティモデルがチャットの履歴を別途読み取り、「タスクが本当に完了したか」をAI自身が判断するという、いわば「AIの監督役をAIが務める」アーキテクチャです。
これにより、エージェントが目的を見失って延々とループし続けたり、不完全な状態で「完了しました」と報告してしまったりする問題を防ぎつつ、より正確なタスク完了を実現します。メインのエージェントは実行に集中し、別のモデルが客観的に進捗を評価する——この役割分担は、今後のAIエージェント設計のスタンダードになっていく可能性を感じさせます。
もちろん、自律性が高まることへの懸念に対しては、組織レベルでの管理設定も用意されており、エンタープライズ環境でのガバナンスにも配慮されています。同バージョンで追加された「Copilotプラグインポリシーの管理」機能と合わせて、AIエージェントを「個人の便利ツール」から「組織で安全に運用するインフラ」へと昇華させる動きが、明確に加速していると言えるでしょう。
