今月も Visual Studio Code の新バージョンがリリースされました。さっそくリリースノートをチェックしていきましょう。
目次
リリースダイジェスト
Visual Studio Code のバージョン1.125〜1.127がリリースされました。
| バージョン | カテゴリ | 変更内容 |
|---|---|---|
| 1.125 | 言語モデル (Language Models) | 拡張機能を通じた独自のモデルプロバイダーの提供が可能になり、専用エディターからマーケットプレイス経由で簡単に検索・インストールできるようになりました。 |
| 1.125 | 統合ブラウザ (Integrated Browser) | アドレスバーからの直接検索が可能になったほか、リモートワークスペースでのプロキシ経由のブラウジング (Preview) や、エージェント向けのURL書き換え機能が改善されました。 |
| 1.125 | 拡張機能の管理 | 自動更新設定が「on/off」に簡素化され、更新が適用されるまでの時間を「時間単位」で詳細に設定できるようになりました。 |
| 1.125 | エンタープライズ機能 | MDM(デバイス管理)を通じたGitHub Copilot設定の配布が可能になり、ダッシュボードでCopilotの予算消費率を確認できるようになりました。 |
| 1.125 | 開発者向けアップデート | 言語サーバー開発者向けに、Language Server Protocol (LSP) バージョン 3.18 がサポートされました。 |
| 1.126 | コスト管理 | チャットのやり取り単位ではなく、セッション全体の合計コストを確認できるようになり、クレジット消費の把握が容易になりました。 |
| 1.126 | 言語モデルの操作性 | コンテキストサイズと推論エフォートの制御を統合したカスタマイズピッカーの導入や、モデル情報の表示改善が行われました。 |
| 1.126 | Agents ウィンドウ (Preview) | 複数のチャットを並行実行できるマルチチャット対応や、生成コードへのフィードバックをエージェントが理解して修正に活かす機能が追加されました。 |
| 1.126 | エディタ体験とセキュリティ | 未知のフォルダを開いた際に「制限モード」で安全に閲覧できる仕組みが導入され、誤操作防止のため「Trust Parent」ボタンが削除されました。 |
| 1.126 | エンジニアリング・その他 | 複数ウィンドウから同一セッションに接続できるAgent Host Protocol (AHP) の採用や、従来の「Edit mode」の非推奨化(Agent modeへの移行推奨)が行われました。 |
| 1.127 | エージェント機能の強化 | ブラウザツールの一般提供 (GA) によりエージェントがブラウザ操作可能になったほか、セッションのグループ化、チャット入力バナー、コストのホバー確認、/troubleshoot コマンドが追加されました。 |
| 1.127 | 統合ブラウザの拡張 | サイトごとにカメラや位置情報などのデバイスアクセス権限を許可・拒否できるパーミッション機能が追加されました。 |
| 1.127 | セキュリティ | macOS/Linuxにおいて、エージェントが実行するターミナルコマンドをサンドボックス化し、ネットワークやファイルへのアクセスを制限して安全性を高めました。 |
| 1.127 | 言語モデルの変更 | 内蔵のOllamaプロバイダーが非推奨となり、公式の「Ollama VS Code拡張機能」の使用が推奨されるようになりました。 |
| 1.127 | エンタープライズ機能 | 管理者がGitHub Copilotの設定を、MDM経由だけでなくローカルのJSONファイル (managed-settings.json) を通じて配布できるようになりました。 |
ピックアップ
エージェント実行環境の実用化と、それを支える周辺機能の整備
Visual Studio Code 1.125から1.127にかけては、AIエージェントを一時的な補助ではなく、開発フローの中で継続的に稼働する作業主体として扱うための整備が段階的に進められました。1.125では拡張機能経由で独自のモデルプロバイダーを持ち込めるようになり、Language Modelsエディターからそのまま発見・導入できる導線も加わりました。続く1.126では、コンテキストサイズと推論エフォートの調整が一つのピッカーに統合され、モデルごとの設定確認も簡潔になっています。一方で1.127では内蔵Ollamaプロバイダーが非推奨となり、公式拡張へ移行する方針が示されました。モデル接続を内蔵機能として抱え込むのではなく、プロバイダー実装を拡張側へ分離していく流れが明確になっています。
統合ブラウザの強化も、この3リリースを通じた大きな軸です。1.125ではアドレスバーから直接ウェブ検索できるようになったほか、リモートワークスペースにおいてHTTP(S)トラフィックをリモート接続経由で扱えるプレビューが加わり、リモート側でしか見えないサービスへVS Code内から到達しやすくなりました。同じリリースで、ポート転送利用時にエージェントが正しいURLへアクセスできるよう書き換えも改善されています。そして1.127では、エージェントが統合ブラウザ上でページを開き、スクリーンショットを取得し、クリック操作を行いながら動作確認までを行えるブラウザツールが一般提供(GA)となりました。あわせてサイト別パーミッションも導入され、カメラや位置情報、Bluetooth・USBといったデバイスへのアクセスをサイトごとに制御できるようになっています。これにより統合ブラウザは、単なる閲覧ビューではなく、エージェントの作業対象として運用できる状態に整えられました。
エージェント本体の機能面では、1.126のAgents Windowプレビューが転換点となり、1つのCopilotセッション内で複数のチャットを並行して実行できるようになりました。メインの実装を進めながら、別チャットでテスト作成やドキュメント作成を任せるといった使い分けが可能になっています。同時に、生成されたコードへのコメントがエージェントホストに保存されるようになり、エージェントがユーザーのフィードバックを直接理解して修正を行える仕組みも整いました(プルリクエストのレビュー対応を含む)。1.127ではこの流れがさらに進み、セッションのグループ化やドラッグ&ドロップによる並べ替え、マルチチャット・セッションの強化に加え、プルリクエストのコメントやCIの失敗をチャット画面を離れずに確認できるバナー、/troubleshootコマンドによる挙動やログの診断機能が追加されました。複数のクライアントやウィンドウから同一のエージェントセッションに接続できるAgent Host Protocol(AHP)の採用も進められており、エージェントを継続的に扱うための基盤が形作られています。
安全性の面では、1.127でmacOSおよびLinux向けにターミナルコマンドのサンドボックス化が導入され、エージェントが実行するコマンドについてネットワークアクセスを遮断し、ファイルシステムへのアクセス範囲を制限できるようになりました。これに先立つ1.126では、未知のフォルダを開いた際にまずRestricted Modeで内容を確認できる仕様に変更され、Workspace Trustにおいても親フォルダをまとめて信頼させる「Trust Parent」ボタンが削除されています。エージェントに作業を任せる範囲が広がる一方で、信頼境界を曖昧にせず必要最小限の権限で確認・実行する方向への整理が進められました。
運用管理の面では、1.125でGitHub Copilotの設定をWindowsおよびmacOSのMDM経由で配布できるようになり、サインイン前から組織のポリシーを適用できるようになりました。1.127ではさらにローカルのJSONファイル(managed-settings.json)によるファイルベースでの配信にも対応し、MDMを前提としない環境でも設定の統制がしやすくなっています。コスト管理についても、1.125での予算消費率のダッシュボード表示に加え、1.126ではチャットセッション単位での合計コスト表示、1.127ではサブエージェントが使用したAIクレジットをホバー操作で確認できる機能が導入され、どの会話やエージェント実行にコストが乗っているかを追いやすくなりました。
最後に、1.126では従来のEdit modeが非推奨となり、より高度なタスク実行を担うAgent modeの使用が推奨される形に整理されています。モデル接続の分離、ブラウザ操作の実用化、並列チャットの実行、レビュー反映の仕組み、サンドボックスによる実行環境の制御、コストの可視化、管理者による配布経路の整備は、それぞれ個別の機能追加というより、エージェントを実際の開発フローの中で継続的に稼働させるための構成要素が、この3リリースを通じて順に埋められてきたものとして捉えられます。
